2026.08.28 COLUMN
  • X
  • LINE
  • Facebook

学んだことを「組み合わせて使う」STEAM教育|小学生の具体例と家庭でできる体験

紙飛行機を飛ばして試行錯誤するSTEAM教育のイメージ

「STEAM教育って、最近よく聞くけど……結局どんな教育?」
「プログラミング?実験?家庭でも何かした方がいいの?」

名前は聞いたことがあっても、具体的にどんな学びなのかはイメージしにくいSTEAM教育。

ひと言でいうと、STEAM教育は、教科ごとに学んだことを「組み合わせて使う」学びです。

STEAM教育(スティーム教育)では、科学や技術、工学、芸術・教養、数学など、さまざまな分野の知識や考え方を教科の枠を越えて活用します
単に複数の分野に触れるだけではなく、学んだことを生かして課題を見つけたり、解決する方法を考えたり、社会的な価値の創造につなげたりすることを目指す学びです。

参考:文部科学省「STEAM教育等の各教科等横断的な学習の推進」

たとえば、「紙飛行機をもっと遠くまで飛ばすには?」と考えて、折り方を変え、飛んだ距離を測り、結果を比べてもう一度試してみる。
そこでは、ものづくりや測定、比較など、異なる分野で学ぶ考え方が一つの問いの中で自然に使われています。

このように、学んだことを教科の中だけで終わらせず、一つの問いや課題に生かしていくことが、STEAM教育を理解する大きなポイントです。

この記事では、STEAM教育の意味やSTEM教育との違い、小学校での学びとの関係、家庭でできる身近なSTEAM体験を、小学生の保護者向けにわかりやすく解説します。

STEAM教育とは?教科の知識をつなげて課題を考える学び

工作を通して複数の分野を横断して学ぶ子どものイメージ

STEAM教育の特徴は、学んだ知識を教科の中だけで終わらせないことです。

理科は理科、算数は算数と、それぞれの教科で基礎を学ぶことは大切です。

一方、私たちが実際の生活で何かを調べたり、ものをつくったりするときには、一つの教科の知識だけを使うとは限りません。

「なぜこうなるのだろう?」と考えるときには科学の知識を使い、
「どのくらい違うのだろう?」と確かめるときには数値を測り、
「もっとよくするには?」と考えれば、設計やものづくりへ広がります。

STEAM教育では、このように学んだことを教科の枠の中だけで終わらせず、一つの課題に合わせて組み合わせて使うことを重視します。

S・T・E・A・Mの5つの分野とは

STEAMは、一般に次の5つの言葉の頭文字から説明されます。

分野意味小学生の身近な例
S:Science科学電気、光、生き物、自然現象などを観察・実験する
T:Technology技術道具やコンピューターなどの技術を使う
E:Engineering工学・ものづくり仕組みを考え、つくり、改良する
A:Arts芸術や幅広い教養デザイン、表現、文化や生活、社会との関係を考える
M:Mathematics数学数える、測る、記録する、グラフで比べる

ここで注意したいのは、一つの活動に必ず5分野すべてを入れる必要はないということです。

STEAMを「S・T・E・A・Mを全部そろえる学習」と考えてしまうと、家庭ではかえって取り組みにくくなります。

実際には、
「この疑問を確かめるには何が必要だろう?」
と考えた結果、科学と数学が組み合わさることもあれば、プログラミングとものづくりが組み合わさることもあります。

大切なのは5文字をそろえることではなく、課題に合わせて複数の知識や方法を使うことです。

STEM教育との違い|「A」は美術だけではない

STEMは、

・Science(科学)
・Technology(技術)
・Engineering(工学)
・Mathematics(数学)

の4分野を表します。

STEAMでは、そこに「A」が加わります。

AはArtsと表されるため、「美術や音楽を加えた教育」とイメージされることがあります。

文部科学省では、Aを芸術だけに限定せず、文化、生活、経済、法律、政治、倫理なども含む幅広い範囲で捉えています。

つまり、
「どうつくるか」だけでなく、
「誰のためにつくるのか」
「暮らしの中でどう役立つのか」
「どのように伝えれば分かりやすいのか」
といった視点まで含めて考えられることも、STEAMの特徴です。

参考:文部科学省「STEAM教育等の各教科等横断的な学習の推進」

小学校ではSTEAM教育をどう学ぶ?教科を越えて考える具体例

小学校でグループ学習に取り組む子どもたち

STEAM教育は、小学校のカリキュラムに「STEAM」という新しい教科が加わる、という意味ではありません
国語・算数・理科・社会など、それぞれの教科で学んだ知識や考え方を土台にして、一つの問いや課題に生かしていきます。

たとえば、理科の実験結果をグラフにまとめるときには、算数で学んだ数値やグラフの知識を使います。調べたことを人に伝えるなら、国語で学んだ文章や表現の力も必要です。

このように、
各教科で学ぶ

一つの問いや課題に生かす

考える・試す

新しい疑問や気づきが生まれる

さらに学びへ戻る
という行き来が生まれます。

教科を越えて考えるといっても、難しい特別な活動ばかりではありません。普段の授業や身近な体験の中にも、複数の学びがつながる場面があります。

参考:文部科学省「3.教育課程の編成(2)STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進」

理科×算数|実験して、測って、結果を比べる

たとえば、「条件を変えると結果はどう変わる?」という実験をするとします。

なぜ変化するのかを考えるところには理科の視点があります。さらに、
・長さや時間を測る
・数値を記録する
・表やグラフにする
・結果を比べる
となれば、算数で学んだ内容も使います。

科学技術振興機構(JST)が公開している実践例には、小学5・6年生などを対象に、人工衛星で観測した北極海の海氷について、小学校で学ぶ算数の知識を使って分析する活動があります。

一つのテーマを、理科や社会、算数など複数の教科の視点から考える例です。

参考:科学技術振興機構(JST)ScienceTEAM「北極海の海氷の変化を調べよう」

算数×プログラミング|考えて、試して、修正する

プログラミングも、コンピューターの操作方法だけを学ぶものとは限りません。

たとえば、
「この図形を描くには、どんな順番で動けばいい?」
「角度はいくつにすればいい?」
「思った形にならなかったのは、どこだろう?」
と考える活動では、算数で学んだ図形や角度の知識を使いながら、プログラムを試して修正していきます。

JSTでは、小学6年生の「拡大図・縮図」の学習にプログラミングを取り入れた実践例も紹介されています。

算数とプログラミングを別々に学ぶのではなく、算数で学んだことをプログラミングで試しながら確かめることで、学びが教科の枠を越えて広がります。

参考:科学技術振興機構(JST)ScienceTEAM「拡大図・縮図~プログラミングを用いた作図~」

プログラミング的思考については、「プログラミング的思考とは?」の記事で詳しく解説しています

身近な疑問から、学びは教科を越えて広がる

教科を越えた学びは、学校の特別な授業だけに限りません。

たとえば、
「どうしたらビー玉をもっと遠くまで転がせる?」
「日なたと日陰では、どちらが暖かい?」
「どうして橋はいろいろな形をしているの?」
といった身近な疑問も入口になります。

紙飛行機なら、折り方や形を変えて試し、飛んだ距離を測り、結果を比べることができます。
さらに、「なぜこの形の方が遠くまで飛んだのだろう?」と考えれば、次の疑問も生まれます。

疑問を持つ → 予想する → 試す → 測る・観察する → 比べる → もう一度考える

と活動を広げていくうちに、一つの教科だけではなく、さまざまな知識や考え方を使う場面が自然に生まれてきます。

STEAM教育を小学生の学びとして考えるときは、「どの教科の活動なのか」と分けるより、一つの問いを追いかける中で、学んだことがどうつながっていくかを見るとイメージしやすいでしょう。

家庭でできるSTEAM体験|身近な3つの例

家庭で親子でものづくりに取り組む様子

家庭でSTEAM的な学びに触れるために、学校と同じ授業を再現する必要はありません。

知育玩具名品館では、これまで家庭でできる実験やプログラミング的な遊びを実際に紹介してきました。
これらを改めてSTEAMの視点から見てみると、「一つの遊びや実験の中で、複数の学びをどうつなげられるか」が見えてきます。

太陽光発電|光の条件を変えて電圧を測る

以前の記事「太陽光発電の自由研究|光源からの距離で電圧はどう変わる?」では、ソーラーパネルとデスクライトの距離を変えながら、発生する電圧を測る実験を紹介しました。

光源からの距離を10cm、20cm、30cm、40cmと変え、それぞれ同じ条件で複数回測定し、結果を表やグラフで比較しました。

一見すると、これは「太陽光発電について調べる理科の実験」です。

しかし、実際に行った作業を分解してみると、
Science(科学):光と太陽電池、発電の仕組みを考える
Technology(技術):太陽電池や測定器を使う
Engineering(工学):測定できるように回路を組み立てる
Mathematics(数学):距離や電圧を測り、数値を比較する
と、複数の視点が関わっています。

太陽光発電の実験をScience・Technology・Engineering・Mathematicsの視点で示したSTEAM教育の図解

そして大切なのは、この実験をSTEAMの4つの視点に分類すること自体ではありません。

「光源から離すと、発電する電圧はどうなるのだろう?」

という一つの疑問を確かめるために、
装置をつくる → 条件を決める → 測る → 比べる → 結果から考える
という異なる方法を組み合わせているところに、STEAM的な学びがあります。

詳しい実験方法は「太陽光発電の自由研究|光源からの距離で電圧はどう変わる?」で紹介しています。

電気を通すもの|予想して、試して、結果を分類する

「10円玉は電気を通す?」
「消しゴムはどうだろう?」

身近なものを回路につないで確かめる実験も、STEAMの視点から見直すことができます。

まず、
「これは電気を通すと思う」
と予想します。

次に実際に試し、
・電気を通したもの
・電気を通さなかったもの
に分けて記録します。

さらに、
「金属はどうだった?」
「同じ仲間に見えるものに共通点はある?」
と結果を比べれば、単に「豆電球がついた・つかなかった」で終わりません。

予想 → 実験 → 記録 → 分類 → 結果から考える

という流れになります。

実験方法は電気を通すもの・通さないものを調べる自由研究の記事で詳しく紹介しています。

プログラミング的思考|手順を考え、試して修正する

家庭でのSTEAM体験は、科学実験だけではありません。

たとえば、
「ゴールまで行くには、どんな順番で動けばいい?」
「右に曲がるのは何回目?」
「思った場所へ行かなかったのはどこだろう?」
と考える遊びがあります。

ここでは、
目的を決める

手順を考える

実際に試す

結果を見る

うまくいかなければ直す
という流れを経験できます。

知育玩具名品館 Journalでも、プログラミング的思考を「目的に向かって手順を考え、うまくいかなければ見直す考え方」として紹介しています。

プログラミングという名前が付いていても、画面の中だけで完結する必要はありません。

実際にものを動かしたり、組み立てたりしながら試す活動にも広げられます。

3つの体験をSTEAMの視点で比べると

家庭での体験組み合わせられる主な視点子どもが行うこと
太陽光発電の条件を変える科学・技術・工学・数学組み立てる、測る、比べる
電気を通すものを調べる科学+記録・分類予想する、試す、分類する
手順を考える遊び技術・工学・数学的な考え方順番を考える、試す、直す

こうして比べると、家庭でSTEAMを取り入れるときに、特別な「STEAM教材」だけが必要なのではないことが分かります。

すでに身近にある実験や工作、プログラミング遊びでも、
「ほかの方法でも確かめられないかな?」
「測ったらどうなる?」
「もっとよくするには?」

と一歩広げることで、教科をまたいで考えるきっかけをつくれます。

家庭でSTEAM的な学びを取り入れる3つの方法

身近な自然を親子で観察する子どもの学びの様子

1.子どもの「これ何だろう?」から始める

家庭では、大人が「今日はSTEAM教育をしよう」とテーマを決める必要はありません。

むしろ、
「どうして影は動くの?」
「このおもちゃはどうして動くの?」
「どっちの紙飛行機が遠くまで飛ぶ?」

といった子どもの疑問が、よい入口になります。

すぐに答えを教えるだけでなく、
「どうなると思う?」
「何を変えたら確かめられそう?」
「どうやって比べようか?」

と少し問いを返すと、予想や実験につながります。

すべての疑問を自由研究のような大きな活動にする必要はありません。

「ちょっと試してみよう」という気持ちでスタートし、子どもの興味が続けば、そこから自然に調べる範囲を広げられます。

2.S・T・E・A・Mを毎回すべて当てはめようとしない

家庭でSTEAMを意識すると、
「Scienceは入ったから、次はArtも入れなければ」と考えたくなるかもしれません。
しかし、5分野をそろえることを目的にすると、活動がかえって不自然になります。

電気の実験なら、まず科学から始まります。
電圧を測れば数学的な視点が加わります。
「もっと安定して測りたい」と装置を工夫すれば、ものづくりへ広がるかもしれません。

このように、活動を先に決めてSTEAMへ無理に当てはめるのではなく、疑問を追いかける中で必要になった知識をつないでいく方が自然です。

3.安全確認は大人が行い、考える部分は子どもに残す

実験やものづくりでは、子どもに任せる部分と、大人が担当する部分を分けることも大切です。

電池、小さな部品、磁石、工具などを使う場合は、商品の対象年齢や取扱説明書を確認し、安全に関わる工程は必要に応じて保護者が見守ります。

一方で、
「どれを試そう?」
「なぜ違ったと思う?」
「次は何を変えてみる?」

といった部分まで、大人が先に答える必要はありません。

安全は大人が支えながら、予想する・選ぶ・試す・考える部分はできるだけ子どもに残すことで、試行錯誤の経験につながります。

まとめ|STEAM教育は「学んだことをつないで使う」学び

まとめイメージ

STEAM教育は、Science・Technology・Engineering・Arts・Mathematicsという5分野を、それぞれ別々に勉強することだけを意味するものではありません。

各教科で学んだ知識や考え方を、必要に応じて組み合わせて使う。

これが、STEAM教育を理解する一つのポイントです。

小学生なら、難しい専門知識から始める必要はありません。

「なぜ?」と考える。
予想する。
実際に試す。
測ったり観察したりする。
結果を比べる。
うまくいかなければ方法を変えてみる。

こうした身近な活動の中にも、複数の分野をつなげて考える場面があります。

家庭では「STEAM教育をするべきだろうか」と構えるよりも、子供の興味から始めて、一つの疑問を少し広げてみるくらいから考えると取り入れやすいでしょう。


※本記事で実験例として紹介している「電脳サーキット®」シリーズは、当サイト運営会社が輸入・販売している商品です。