2026.02.04 COLUMN
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中学受験の電気回路|「回路図が苦手…」を家でサポートする基礎と計算のコツ

オレンジを使った実験をする子供の手元

中学受験の理科で、電気回路は「分かったつもりだったのに、問題になると止まる…」が起きやすい単元です。
特に苦手な子ほど、回路図を見た瞬間に「どこから考えればいいの?」となりがちで、親としても声かけに迷いやすいところ。

この記事では、電気回路が苦手になりやすい理由を、親子で発見するヒントをまとめます。
「水の流れ」のイメージで電流・電圧・抵抗をつかみ、直列・並列の違いをスッと説明できる状態へ。
さらに合成抵抗の考え方を使って、複雑に見える回路図も整理して読み解くコツを紹介します。

お子さんが「ここを見ればよかったんだ」と気づけるきっかけに、ぜひお役立てください。

この記事の目次

電気回路の基礎は「水の流れ」でイメージすれば理解しやすい

電気回路の最初の壁は、目に見えない電流・電圧・抵抗の関係です。
ここでつまずくと、理科問題を解くたびに「なんとなく公式を当てはめる」状態になり、少しひねった入試問題で崩れやすくなります。

おすすめは「水の流れ」に置き換えることです。
回路全体を、ポンプ(乾電池)+パイプ(導線)+障害物(抵抗)の循環としてイメージできると、直列・並列や合成抵抗の計算が“意味のある式”になります。

電流は「流れる量」=パイプを流れる水の量

電流とは、回路の中を流れる電気の流れのことです。
水流モデルに置き換えると、パイプの中を流れる「水の量」に相当します。
水がドバッと流れる状態が「電流が大きい」、ちょろちょろ流れる状態が「電流が小さい」ということです。

豆電球が光るのは、電流が流れることによる働きなので、大きな電流が流れるほど明るく輝きます。
水車が水の量で回り方が変わる様子を想像すると理解しやすいでしょう。
電流の単位はアンペア(A)です。

家庭での一言:
「今この回路、電気は“ドバッと”流れてる?“ちょろちょろ”?」
まず“量の感覚”がつかめると、後の計算がつながります。

電圧は「押し出す力」=水を押し上げるポンプの力

電圧とは、回路に電流を流そうとする「圧力」や「勢い」です。
水流モデルでは、水を高い位置へ押し上げる「ポンプの力」に例えられます。
このポンプ役が乾電池です。

ポンプの力が強いほど水をたくさん速く流せるように、電圧が高いほど回路には大きな電流が流れやすくなります。
乾電池を2つ直列につなぐと電圧が2倍になるのは、ポンプを2台縦に連結して押し出す力が増えるイメージです。電圧の単位はボルト(V)です。

家庭での一言:
「乾電池が増えると、押し出す力(電圧)は強くなる?弱くなる?」

抵抗は「流れにくさ」=細いパイプ・途中の障害物

抵抗とは、電流の流れをじゃまする「流れにくさ」です。
水で言えば、パイプが細い/途中に網や障害物がある状態です。
抵抗が大きいほど電流は小さくなり、豆電球は暗くなりやすくなります。
単位はオーム(Ω)です。

ここが腑に落ちると、直列・並列や合成抵抗の考え方が一気につながります。

家庭での一言:
「障害物が増えたら、水って流れやすい?流れにくい?」

■【5分ミニ実験】抵抗(=流れにくさ)を“体験”で納得する■
もし抵抗パーツ(値の違う抵抗)が用意できるなら、同じ乾電池・同じLED(豆電球)で抵抗だけを入れ替えて明るさを比べます。
①抵抗が小さい:明るい/②抵抗が大きい:暗い(流れにくい)
最後に「抵抗が大きい=流れにくい」を一文で説明することで、計算に入る前の理解が固まります。

スナップ式の回路キット(例:電脳サーキット)があると、差し替えがさっとできて、短時間で“比較→納得”までしやすいです。

電脳サーキット

計算問題の基本!直列・並列で何が変わるかを“言える”ようにする

電気回路の計算問題は、基本的に「直列」と「並列」の理解から始まります。
豆電球や乾電池のつなぎ方によって、回路全体の抵抗や電圧が変化し、豆電球の明るさや電池の持ち時間が変わります。

ここで大事なのは、公式を当てはめる前に「理由を一言で言える」ことです。
理由が言えると、初見の問題でも崩れにくくなります。

直列つなぎ|暗くなるのは「流れにくさ(抵抗)が増える」から

豆電球を1本の線で数珠つなぎにするのが直列つなぎです。
乾電池1個に豆電球1個のときと比べ、2個直列につなぐと暗くなるのは、回路全体の抵抗が大きくなり、電流が減るためです。

水流モデルで言えば、障害物が1個から2個に増えて流れにくくなるのと同じです。
流れる電流が小さくなるので、1個あたりの明るさが暗くなります。

1分チェック:
「直列で暗いのは、電流が(増える/減る)から?」

並列つなぎ|明るさが変わりにくいのは「同じ電圧がかかる」から

豆電球を途中で枝分かれさせてつなぐのが並列つなぎです。
乾電池1個に豆電球1個のときと比べ、2個並列につないでも明るさが変わりにくいのは、分岐したそれぞれの回路に乾電池の電圧がそのままかかるためです。

水流モデルでは、ポンプから出た水が2本のパイプに分かれて流れるイメージ。
各パイプには同じ押し出す力がかかるので、各豆電球も同じように光りやすいのです。
ただし回路全体としては必要な電流が増えるため、乾電池の消耗は早くなります。

1分チェック:
「並列で明るさが変わりにくいのは、“各枝”に何が同じだから?」

■【予想→実験→説明】直列・並列が一発で定着するやり方■
同じ豆電球(LED)を2個使って、①直列 ②並列 を作り、明るさの変化を「先に予想」→「実際に確認」→「理由を言葉にする」の順で進めます。
・直列:暗くなる(抵抗が増えて電流が減る)
・並列:明るさはほぼ同じ(各枝に同じ電圧がかかる)
最後に、ノートへ“回路図”も書き写すと、中学受験の出題形式(回路図→判断→計算)にそのまま活かせます。

スナップ式の回路キット(例:電脳サーキット)があると、この比較を短時間で何度も試せるので、理解の固定に向いています。

電脳サーキットのパーツ
パーツに回路記号が印刷されているので、「図=実物」がつながりやすく、苦手な子でも理解しやすい。 電脳サーキットを見る

乾電池のつなぎ方|明るさと点灯時間が変わる“理由”を整理する

乾電池のつなぎ方にも直列と並列があり、それによって豆電球の明るさと点灯時間が変化します。

乾電池を直列につなぐと、回路全体にかかる電圧が乾電池の個数分だけ足し算されます。
例えば、1.5Vの乾電池を2個直列にすると、電圧は3Vになります。
電圧が高くなることで回路に流れる電流が大きくなり、豆電球はより明るく光りやすくなります。

一方、乾電池を並列につないだ場合、電圧は1個のときと変わりません。
そのため豆電球の明るさは変化しにくい一方で、複数の電池で電流を分担して送り出すため、電池が長持ちし、点灯時間が長くなる傾向があります。

複雑な回路図も解ける!合成抵抗で“図を見抜く”考え方

中学受験の理科では、直列と並列が組み合わさった複雑な回路図の問題が出題されます。
でも安心してください。
難しく見えるのは「まとめ方」を知らないだけです。
回路全体の抵抗である合成抵抗を求められると、回路図を単純化して考えられます。

合成抵抗の計算ルールは、直列と並列で異なります。
ここを押さえると、複雑回路でも“やることは同じ”になります。

直列の合成抵抗|一本道だから「足し算」でOK

直列回路の合成抵抗は、抵抗の値を足し合わせるだけです。
例えば、20Ωの抵抗と30Ωの抵抗が直列につながれている場合、この部分の合成抵抗は「20Ω+30Ω=50Ω」となります。

電流が流れる道筋が一本道であり、すべての抵抗を順番に通過していくため、流れにくさがそのまま加算されると考えると理解しやすいです。
抵抗が3つ以上でも同様に、すべての値を足すだけで合成抵抗を算出できます。

並列の合成抵抗|「小さくなる」を先に押さえて計算へ

並列回路では、電流が流れる道が複数に分岐するため、回路全体としては電流が流れやすくなります。
その結果、合成抵抗の値は、それぞれの抵抗の値よりも小さくなるのが特徴です。

計算方法は「和分の積」という公式を使うと便利です。
2つの抵抗がある場合、「(抵抗1×抵抗2)÷(抵抗1+抵抗2)」で合成抵抗を求められます。
例えば20Ωと30Ωの並列回路なら「(20×30)÷(20+30)=600÷50=12Ω」となります。
同じ抵抗2つの並列なら合成抵抗は半分の値になる、ということも覚えておくと計算時間を短縮できます。

■【図を単純化する練習】合成抵抗の“置き換え”を体感する■
並列部分を見つけたら、まず「ここは1つの抵抗に置き換えられる?」と確認します。

スナップ式回路キット(例:電脳サーキット)がある場合は、①並列部分だけ組む→②1本に置き換えた回路図を描く→③合成抵抗を計算、の順で考えると理解しやすいです。
「回路をかたまりで見る」力がつくと、複雑回路でも“どこから手をつけるか”が迷いにくくなります。

キットがない場合は、回路図を色分けしてかたまり化するだけでもOKです。

【実践】回路図の計算は「3ステップ」だけ守れば迷いにい

複雑な回路図の問題は、いきなり計算を始めずに「見る順番」を固定するとミスが減ります。
ここは家庭でも使いやすい型です。

ステップ1:回路図全体を見て、スイッチが「開いている/閉じている」を確認します。
電気が通る道(通らない道)が決まるので、まずここで回路を整理します。

ステップ2:次に、回路の中の直列並列の「かたまり」を見つけ、部分ごとに整理します。
並列になっている部分、直列になっている部分を順番にまとめていき、回路全体の合成抵抗を求めます。
このとき、回路図をより簡単な形に書き直しながら進めると間違いが少なくなります。

ステップ3:最後に、回路全体として「どれくらい電気が流れやすいか(合成抵抗)」と「どれくらい押し出す力があるか(電圧)」をそろえて、全体に流れる電流を求めます。
(考え方としては「押し出す力が強いほど流れやすくなる/流れにくいほど電流は小さくなる」という関係です)

この3ステップを意識することで、回路図が複雑でも「まずどこを見るか」がはっきりし、入試の理科 問題でも迷いにくくなります。

電気回路の苦手を得意に変える家庭学習の3つのポイント

電気回路は、一度つまずくと苦手意識が定着しやすい単元です。
しかし、家庭での学習方法を少し工夫することで、子どもが自分の力で理解を深め、得意分野に変えていくことも可能です。

ここでは、机に向かって問題集を解くだけでなく、より効果的に学習を進めるための3つの具体的なポイントを紹介します。
親子で一緒に取り組むことで、学習効果はさらに高まります。

ポイント①:まずは簡単な回路図を“自分の手で”書いてみる

問題集やテキストに印刷されている回路図をただ眺めているだけでは、電気の流れを立体的にイメージするのは難しいものです。
そこで、まずは乾電池や豆電球、抵抗などの回路記号を使って、簡単な回路図をノートに書き写すことから始めてみましょう

実際に手を動かして書くことで、電流がどこから出発し、どの経路を通って戻ってくるのかという流れを意識できます。
直列と並列の違いや、スイッチを入れたり切ったりしたときの電流の道の変化を考えながら書くことで、回路の構造そのものへの理解が深まります。

ポイント②:公式の丸暗記ではなく「なぜそうなるか」を親子で確認する

合成抵抗の計算などで出てくる公式を、意味も分からず丸暗記してしまうと、少しひねった問題が出たときに対応できなくなります
大切なのは、「なぜ直列つなぎでは抵抗を足し算するのか」「なぜ並列つなぎでは抵抗が小さくなるのか」といった理屈の部分を理解することです。

「水の流れ」の例え話を使いながら、「障害物が増えるから流れにくくなるんだね」「水の通り道が増えるから流れやすくなるんだね」というように、親子で対話しながら理由を確認する作業が有効です。
理由が分かれば、公式は後から自然についてきます。

ポイント③:基本問題から始めて「できた」を積み重ねる

電気回路が苦手な子どもに、いきなり応用問題ばかりを解かせると、ますます自信を失いかねません。
まずは、豆電球1個だけの最もシンプルな回路の問題など、確実に解けるレベルからスタートすることが重要です。
市販の問題集の基本問題などを活用し、「できた」「わかった」という感覚を大切にしましょう。

一つのパターンが解けたら、次は豆電球が2個の直列回路、その次は並列回路と、少しずつ難易度を上げていきます。
こうした小さな成功体験を積み重ねることが、学習への意欲を引き出し、苦手意識を克服する近道となります。

【関連記事】「体験して理解する」回路教材

図と計算だけで難しいときは、“実際に作って確かめる”体験があると理解が早まることがあります。
家庭学習の補助として、回路を組める教材を使うのも一つの方法です。

中学受験の電気回路で、親がよく感じる疑問

電気回路は、公式や用語を覚えただけでは理解しにくい単元です。
ここでは、家庭で見ていて多くの親御さんが感じやすい疑問をもとに、考え方のヒントをまとめました。

Q. 公式は覚えているのに、少し形が変わると解けなくなります

この場合、「公式が分からない」のではなく、回路図の見方が固まっていないことが多いです。
電気回路の理科 問題では、図の形が少し変わるだけで、直列・並列の判断や抵抗の扱いが変わります。

公式だけを当てはめようとすると、
「どこに電流が流れているのか」「どこで分かれているのか」が見えなくなりがちです。

まずは

  • 電流の流れを指でなぞる
  • スイッチが開いている・閉じている部分を確認する

といった図を読む作業を丁寧に行うことで、計算の前段階が安定しやすくなります。。

Q. 直列・並列は理解しているのに、回路図になると混乱します

これはとてもよくあるケースです。
言葉では「直列・並列」を説明できても、複雑な回路図になると判断が追いつかなくなります。

原因の多くは、
「図を見て考える」経験が不足していることです。

紙の上の回路図だけで理解するのが難しい場合は、

  • 実際のつながりを目で確認する
  • どこで枝分かれしているかを立体的に捉える

といった経験があると、図と現実が結びつきやすくなります。

Q. 合成抵抗の計算が特に苦手です

合成抵抗は、電気回路の中でもつまずきやすいポイントです。
計算そのものよりも、「どこをひとまとめにするか」が分からず止まることが多く見られます。

ポイントは、

  • いきなり計算しない
  • 回路を部分ごとに区切って見る

ことです。

並列になっている部分を一つの抵抗に置き換え、そのあと直列として考える、という流れを繰り返すと、複雑に見える回路も整理しやすくなります。

この「置き換える感覚」は、図だけでなく、実際の回路を組み替えながら確認すると定着しやすい傾向があります。

スナップ式で回路を組み替えられる電脳サーキットのような教材があると、直列・並列の違いや、合成抵抗の考え方を「見て確認する」ことができます。
図だけではイメージしづらい部分を補う手段として活用しやすい点が特徴です。

【関連記事】家庭学習が進むヒント

電気回路を文章や計算だけで理解しようとすると、回路図が「記号の集まり」に見えてしまいがちです。
図やつながりを目で確認できる体験があると、「どこで分かれているのか」「なぜ計算が変わるのか」が整理しやすくなります。

家庭で取り入れやすい回路教材の考え方や選び方については、こちらの記事でも紹介しています。

まとめ

電気回路が苦手に感じるときは、まず電流・電圧・抵抗の関係を「水の流れ」に置き換えて、イメージを作るところから始めるのが近道です。
その上で、直列・並列で「何が変わって、何が変わらないのか」を言葉にできるようになると、回路図の見え方がぐっと整理されます。

そして、複雑に見える回路図も、部分ごとに合成抵抗を求めて置き換えていけば、「やることは同じだな」と落ち着いて考えられるようになります。

家庭では、問題をたくさん解く前に、回路図を自分の手で書き写したり、電流の流れを矢印で描き込んだりするだけでも十分効果があります。
「ここを見ればよかったんだ」が増えていくと、子どもは少しずつ自信を取り戻します。
焦らず、できるところから一歩ずつで大丈夫です。